愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 我ながら何て失礼なことをしてしまったのだと頭が痛くなって来た。なんならこの罪をポンコツな頭ごと叩き割ってもらいたいくらいである。

「モリアちゃんはここで待っていて。あの馬鹿、引き摺ってでも連れてくるから!」
「いえ、私が謝罪に行きますので」
「モリアちゃんが謝ることなんて何一つもないわ!」
「全ては忘れていた私の責任です。どうか私に謝らせてください」
「モリアちゃん……」

 謝って済むとは思っていない。
 ラウス様は五年も私を想ってくれていたのに、私はすっかり忘れていて、あろうことか別人であるとまで言ってのけたのだから。だが一つ、引っかかるのはラウス様の『間違い』である。

 彼は一体何を間違えたのだろうか?
 いや、今はそんなこと気にしている場合ではない。

「モリア!」

 自らの罪の重さにこうべを垂れる私の頭に降り注いで来たのは、いつもと変わらず出かけたはずのラウス様だった。

 時刻はまだ昼を少し過ぎたあたり。
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