愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「……思い出してなどいないのです。緊張で、あの日のことは何も覚えていないのです。だから見損なわれるのは私の方です」
「…………それでも、俺の思いは変わらない。モリアは覚えていなくとも、俺はあの夜、君が初めて参加した国王主催の夜会で恋をした」
「私の従兄弟にあたるダイナスに声をかけられ、そして手を滑らせた彼の婚約者にワインをかけられた君は『汚れなんか洗えば落ちますので気にしないでください』と、そう言ったんだ。それどころか君は隣に立っていた俺のことまで気にした。『汚れませんでしたか?』と、君の胸は赤く染まっているのに、そんなこと気にもしなかった」
それは私にとって汚れなんて日常茶飯事で、ワインのシミ抜きだって時間が経たなければ簡単に落ちるものだということも知っていたからだろう。
「私のジャケットに汚れを見つけた君は俺の手を引いて休憩室まで連れて行った。これは言い訳になってしまうんだが……、過去に二度ほど権力目当てに近寄ってきた人間がわざとワインをかけて俺のことを休憩室に連れ込んだことがあったせいで、君に酷い態度を取ってしまった……。
「…………それでも、俺の思いは変わらない。モリアは覚えていなくとも、俺はあの夜、君が初めて参加した国王主催の夜会で恋をした」
「私の従兄弟にあたるダイナスに声をかけられ、そして手を滑らせた彼の婚約者にワインをかけられた君は『汚れなんか洗えば落ちますので気にしないでください』と、そう言ったんだ。それどころか君は隣に立っていた俺のことまで気にした。『汚れませんでしたか?』と、君の胸は赤く染まっているのに、そんなこと気にもしなかった」
それは私にとって汚れなんて日常茶飯事で、ワインのシミ抜きだって時間が経たなければ簡単に落ちるものだということも知っていたからだろう。
「私のジャケットに汚れを見つけた君は俺の手を引いて休憩室まで連れて行った。これは言い訳になってしまうんだが……、過去に二度ほど権力目当てに近寄ってきた人間がわざとワインをかけて俺のことを休憩室に連れ込んだことがあったせいで、君に酷い態度を取ってしまった……。