愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 だがラウス様が一つ一つ挙げていくうちに私の選択肢は一つ一つ消されてしまう。

 借金のカタだからとかそんな適当な理由で側にいることなど出来なくなってしまっているのだ。

 ラウス様の隣にいるには『そこにいたい』という私の意思がなければならない。
 ラウス様はとてもお優しい方で、そして五年もの間私を思い続けてくれたらしい。

 申し訳ないという気持ちがある反面で、そんな理由でこの話を受けて仕舞えば一層彼を傷つけるのではないかと気づいてしまう。

 だからといってラウス様を愛しているのかと聞かれれば『わからない』と答える他ない。

 私は今まで愛も恋もしたことがなかったのだから。

 だが一つ、確実に言えることがある。
 それはラウス様に限ったことではないのだが、私がカリバーン家の人達に好意を抱いていることだ。

「ラウス様」
「なんだ?」
「私はまだ愛とか恋とかはよくわかりません。でも私がカリバーンの皆さんを好いていることは、まだこの場所に居たいと思う気持ちは嘘ではないんです」

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