愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 後から私たちの間にあった出来事を知ったらしいアンジェリカはそれに便乗するかのように「私もお義姉様が大好きですわ!」なんて言うものだから、朝も昼も夜も私は顔を真っ赤に染め上げて過ごすのだ。

 サキヌもサキヌで私がこの家から出ていくのを恐れてか、はたまた私の暴走を恐れてなのか、アンジェリカのように昼は出来る限り私の側に居るようになった。

 今ではすっかりお義母様とアンジェリカの諍いに自ら率先して入るようになっている。なんでも今までは遠慮していただけであったのだとか。

 そんな彼らではあるが朝と夜、ラウス様が居るうちは私の側からスススッと離れていく。私達の時間を邪魔するつもりはないと意思を示すかのようにニヤニヤと、品のある彼ららしからぬ笑みを浮かべながら。

「モリア、ただいま」
「おかえりなさい、ラウス様」

 それからもう一つ変わったことといえば、よりいっそうお互いを知るようにと努めるようになったことだろう。

 そのためにと夕食後にラウス様の部屋でお互いのことを語るのが日課となった。
 男女の営みをするためではなく、たわいもない話に花を咲かせるために。

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