愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
振り返り、そして最後にせめてと抱きつくアンジェリカの頭を撫でてやると、彼女は決心したような力強い瞳で見上げる。
「行ってまいります!」
その姿はまさに御伽噺の勇者のようで、そんな彼女を見送った私は部屋へと戻ると夕方には帰って来るだろう彼女のために新たな刺繍を施すことにした。
以前、予備で入れてくれたであろうハンカチに今度は薔薇ではなく、アンジェリカの笑顔にピッタリな黄色いチューリップを刺繍する。
喜んでくれるだろうか?
悲しげな表情も、強かな表情もなく、ただアンジェリカの歳にふさわしい明るく柔らかな笑みを浮かべてくれれば手の中の花も浮かばれることだろう。
「よし」
目の前に掲げた黄色いチューリップを咲かすハンカチを眺める。心の中で我ながら上手くできたんじゃないかと自画自賛をしていると、何やら外からの物音が目立つようになってきた。
いつも通りに揃って出かけたお義父様とラウス様が帰って来るにはまだ早すぎる時間で、サキヌは今日は婚約者と遠駆けに出かけるのだと昼食を持って出かけていたから、やはり彼もまだ帰って来るには早すぎる。
「行ってまいります!」
その姿はまさに御伽噺の勇者のようで、そんな彼女を見送った私は部屋へと戻ると夕方には帰って来るだろう彼女のために新たな刺繍を施すことにした。
以前、予備で入れてくれたであろうハンカチに今度は薔薇ではなく、アンジェリカの笑顔にピッタリな黄色いチューリップを刺繍する。
喜んでくれるだろうか?
悲しげな表情も、強かな表情もなく、ただアンジェリカの歳にふさわしい明るく柔らかな笑みを浮かべてくれれば手の中の花も浮かばれることだろう。
「よし」
目の前に掲げた黄色いチューリップを咲かすハンカチを眺める。心の中で我ながら上手くできたんじゃないかと自画自賛をしていると、何やら外からの物音が目立つようになってきた。
いつも通りに揃って出かけたお義父様とラウス様が帰って来るにはまだ早すぎる時間で、サキヌは今日は婚約者と遠駆けに出かけるのだと昼食を持って出かけていたから、やはり彼もまだ帰って来るには早すぎる。