愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
タイミングよく、私の部屋には先程完成したばかりのアンジェリカに渡すハンカチがある。
「あの、アンジェリカに渡したいものがあるのでちょっと部屋に取りに帰ってもいいですか?」
「モリア様! ありがとうございます……!」
溢れそうになる涙を隠すようにして頭を下げるシェードを背に、足早に部屋へと戻る。そして目当ての物を手に取った。
後はアンジェリカの部屋を目指すだけだとドアノブに手をかけると再び外が騒がしくなってきた。
今度は物音だけではなく、人の声も混じって。
その声の主達は皆感情を露わにしているらしく、声だけでも彼らが苛立たしげであったり、また必死に誰かを制止するように声を押し殺しつつも懇願するような姿勢がうかがえる。
後者は何度か耳にしたこの家の、カリバーン家の使用人のものだが、前者は初めて耳にする、まだ歳若い男性の声だった。
その声はどんどん大きくなり、そして私がドアを開けていいのかどうか迷っているうちに遠ざかって行った。
「あの、アンジェリカに渡したいものがあるのでちょっと部屋に取りに帰ってもいいですか?」
「モリア様! ありがとうございます……!」
溢れそうになる涙を隠すようにして頭を下げるシェードを背に、足早に部屋へと戻る。そして目当ての物を手に取った。
後はアンジェリカの部屋を目指すだけだとドアノブに手をかけると再び外が騒がしくなってきた。
今度は物音だけではなく、人の声も混じって。
その声の主達は皆感情を露わにしているらしく、声だけでも彼らが苛立たしげであったり、また必死に誰かを制止するように声を押し殺しつつも懇願するような姿勢がうかがえる。
後者は何度か耳にしたこの家の、カリバーン家の使用人のものだが、前者は初めて耳にする、まだ歳若い男性の声だった。
その声はどんどん大きくなり、そして私がドアを開けていいのかどうか迷っているうちに遠ざかって行った。