愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「あ、いえ……。私は何も……」

 問いに答える声はこれ以上心配させまいと出だしばかりが強くなった。

 けれど途中でそう答えることがむしろより心配にさせてしまうのではないかと言うことに気づき、段々と勢いを落としたように弱くなる。

 やはりアンジェリカの様子が気がかりで、今も部屋に引きこもったままなのではないかと勘ぐってしまうのだ。

「……ああ、アンジェリカのことを気にしているのか? なら心配はいらない。アンジェリカがちゃんと夕食を食べたとシェードが先ほど嬉しそうな顔で屋敷中に伝達していたからな」

 ラウス様は安心させるように私の頭を撫でながら、アンジェリカの様子を教えてくれた。

 けれどその言葉は余計にアンジェリカを心配してしまう要因となる。
 まさかいつもあんな様子だとは思いもしなかったのだ。ラウス様の話す限りだとどうやら今回が特別というわけではなさそうだ。

「アンジェリカ、いつもマクベス王子に会われた日はご飯、食べないんですか?」
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