愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 身体を前のめりにさせながら、私の知らなかった時のアンジェリカが心配でたまらなくなる。

「モリア、落ち着いてくれ。君はシェードやマクベス王子と同じような反応をするんだな。それだけアンジェリカを思ってくれているのは嬉しいが、心配しすぎだ。アンジェリカは意外と丈夫なんだ」
「ですが、ですが……」
「むしろその後の方が大変で、まさかマクベス王子を連れて国王陛下までもが直々に謝罪されるとは思っていなかった」
「国王陛下直々に……」
「アンジェリカとマクベス王子の婚約は政略的ものではないからな。王子も破談にしないでほしいと目を潤ませていたな」
「政略結婚では、ない?」

 ならばなぜあんなに辛そうな顔をしてまで、アンジェリカは婚約状態を続けているというのか。

 先程の、ほんの少しの間だけでもマクベス王子がアンジェリカのことを思っているのは感じられた。

 けれどアンジェリカの過去の出来事を聞いてしまった私は二人を応援することは難しい。

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