愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 しゃがみこんですっかり愛おしく思えた彼らの顔を眺めていると、その中で一匹、明らかに見覚えのあるネコと目があった。

 甘やかされ続けた印の丸々とした身体も、どこか眠そうな目も、白い毛の上に点々とある黒いブチも、数年前に満足気にこの世を去ったはずのグスタフとそっくりなのだ。

 その猫の方も私の顔を見るや否や鳴き声をあげた。

「ぶにぁ」

 その鳴き声に堪えきれず、私は彼へと手を伸ばした。

「グスタフ!」
「ぶにぁ、にゃぁにゃぁ」
「グスタフ、グスタフ!」

 まん丸い身体に頬ずりをしても私の腕の中から彼が逃げ出すことはない。
 昔のように、仕方がないなとふてぶてしい顔で私を見下ろすのだ。

 彼の死は仕方のないもので、私にはどうしようもなく抗えないものだった。
 満足気な顔を最期に浮かべるのも彼らしいと、むしろよくここまで生きてくれたと気持ちに区切りはつけていた。

 だがもう一度会えるなら、会えたのならその感動を身体全身で表してしまうのは仕方のないことだろう。

「モリアさん……とその子は誰かしら? 見覚えがないわね」
「シャロン様のお屋敷の子ではないんですか?」

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