愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 そう否定しようとするとお義母様はフルフルと首を振り、そして後の2人は納得したように仕方がないとお義母様の言葉に賛同するように頷いた。

「まぁ私はそれが気に入らなくて押して押して押して、やっと手に入れたから今があるのだけどね。…………それにね、思い出がないなら作ればいいだけよ。会う前よりも会ってからの方が人間、長く生きるんだから」


 私はその日、お義母様の芯の強さを再確認したのであった。


『思い出がないなら作ればいいだけよ』

 お茶会でのお義母様の言葉が胸に突き刺さった私はその夜、意を決してブーケを作りたいのだとラウス様にお願いした。

 一度は諦めたブーケを、ラウス様との結婚式に用意したいと思ったのだ。
 すると意外にもラウス様は「いいぞ」と快諾してくださった。だがサンドレアの家に材料を取りに戻りたいと告げると表情を曇らせた。

「材料なら揃えさせる。だから……」

 サンドレアの家まで、最低3日。
 行き帰り、そして作業にかかる時間を合わせたらきっと私は1週間以上カリバーン屋敷に帰ってくることは出来ないだろう。

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