愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「モリア……モリアなのか?」
「お兄様、ただいま帰りました」
「モリアが帰ってきたぞー!!」

 お兄様の久しぶりの雄叫びは耳にキーンと余韻を残す。すると奥からはそれを聞きつけたお父様とお母様が使用人を引き連れて駆け下りてくる。

「モリア?!」
「お帰りなさい、よく帰ってきたわね……」

 涙を浮かべて抱きつく3人には、腕の中のバラの花びらが落ちることを恐れて一旦離れていただいた。

 そして愛する家族にカリバーン家での出来事を話した。

 カリバーンは借金のカタに嫁にとったつもりはないこと。

 カリバーン家の皆さんがとても優しくしてくださっていること。

 ラウス様が愛してくださっていること。

 過去に彼とは一度、出会っていたこと。

 ラウス様との出会いの記憶がないことは伏せた。
 ないと言えばまた心配性のお父様達の気持ちを荒ぶらせるだけだからだ。

 ラウス様は私にその日の記憶がないことを納得してくださった。
 そしてそれでも愛していると言ってくださった。

 すると私の報告を聞いたこの場にいた誰もが頬を緩ませて、そして「お祝いだ」と私の手を引いた。

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