愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 夕食を終え、脱水が完了した花を容器から引き上げると素早く着色液へと移し替える。後は再び待つだけだ。

 用意してもらったベッドで長旅の身体を休める。今の時期、サンドレアの夜は冷え込むこともあってグスタフも同じ布団に潜り込んでくる。

「明日が楽しみだね」
 着色液が浸透するのは夜が明けてから。
 私はグスタフと共にその時を眠りながら待つのだった。



 太陽が昇り、着替えや顔を洗うよりも先に花の様子を見に行った。

 着色液から引き上げ、昨日使った脱水液で手早く洗浄すると昨日のうちにお母様が用意してくれていたネットの上に乾かした。後は再び待つのみである。

 顔を洗って、着替えて、そして畑へと向かって家族の手伝いをする。

 こんな時、ちゃんと筋力トレーニングをしておいて良かったと実感する。
 してなかったら今頃、足腰はピクピクと震え出していたことだろう。畑仕事も終わり、早速朝食にありついているとふと私の頭にあることが過った。

「そうだ、お母様。私がデビュタントの時に着たドレス、まだあるかしら?」

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