愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 せっかく4日もかけて帰って来たのだから、私達を巡り会わせてくれた思い出のドレスを見ておきたいと思ったのだ。

 それにプリザーブドフラワーの完成まで、時間は有り余っているのだ。ドレスを見るくらい、すぐだろう。

「デビュタントの? もちろんあるわよ、あなたたちのドレスは全部取ってあるもの。確かあのドレスなら二階のクローゼットの……一番奥にあるわ」
「本当に!?」
「ええ。カリバーン家に持って行くなら持ってきてもらうけど」
「見るだけだから、大丈夫。自分で行くわ」

 お父様とお兄様と戯れているグスタフに「ちょっと行ってくるね」と告げ、住み慣れた我が家を闊歩する。そしてお目当てのクローゼットルームに入る。

 サンドレアの使用人は皆マメで、すでに着られることのなくなったドレスもタキシードも全て大切に保管されている。

 私のドレスがかけられているレールを辿って、一番奥まで辿り着くとそこには懐かしの、私の瞳よりも少しだけ淡い色をしたドレスが顔を見せた。

「これが……」

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