愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 いよいよご対面となるそのドレス。全貌を知れば私の眠った記憶もいよいよ目を覚ますのだろうかと期待を抱き、そのハンガーを手に取った。


 ――そしてドレスとの対面を果たした私は自分の目を疑った。
 胸元に白薔薇の刺繍などなかったのだ。あるのはフンワリとボリュームを出したフリルだけだった。

 …………やはり別人だったのだ。ラウス様が愛したのは私と顔のよく似た、誰かなのだ。

 思い出がたくさん詰まっているはずのドレスに、なぜ今なのかと責める相手もいやしないその感情が涙となってこぼれ落ちる。

 私はラウス様を愛してしまった。
 身を引こうと決意したあの日よりずっと好意は膨らんできているのだ。だからこそ、熱くなった胸が苦しくてたまらない。

 涙とともに押し寄せる感情はこの遅すぎる初恋を自覚してしまった故の代償なのだと、心に深く刻み込まれた。

「モリア、あなたその目、どうしたの!?」

 涙を流しきり赤く腫れてしまったその目はすぐにリビングに残るお母様達に見つかってしまった。

 私の前にラウス様の思い人は別人なのだという考えは、以前よりも影を色濃くして現れた。

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