愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
その問いかけで私は選択を間違っていたことに気づく。身体中から汗がにじみ出るのに、返すべき正解の言葉は一切浮かばない。
「王子が以前、お義姉様を連れてくるようにと言ったのではありませんか」
アンジェリカはこんな不甲斐ない私に絶好の助け舟を出してくれた。だがその舟はマクベス王子の手で呆気なく沈められた。
「あんなのは戯言に決まっているだろう。本当に来るなんて、その女はどれだけ愚かなのだ。第一アンジェリカ、お前もお前だ。俺が自室に男爵家の娘の入室などを許すわけがないとなぜ気づかない」
「……っ」
身分差があるとはこういうことだと、カリバーン家での対応が異例だっただけだと王子の言葉に納得する私に対し、アンジェリカは悔しそうにその大きな目いっぱいに涙を溜めた。
「アンジェリカ、そこの下級貴族の娘は放っておいて遠駆けに出かけないか? 今日はよく晴れていて、気持ちいいだろう」
「……」
「おいアンジェリカ、聞いているのか!」
「…………帰ります」
幼く柔い肌に爪を食い込ませ、それ以外の言葉を我慢したアンジェリカは利き手とは逆の手で私の手を引いた。
「王子が以前、お義姉様を連れてくるようにと言ったのではありませんか」
アンジェリカはこんな不甲斐ない私に絶好の助け舟を出してくれた。だがその舟はマクベス王子の手で呆気なく沈められた。
「あんなのは戯言に決まっているだろう。本当に来るなんて、その女はどれだけ愚かなのだ。第一アンジェリカ、お前もお前だ。俺が自室に男爵家の娘の入室などを許すわけがないとなぜ気づかない」
「……っ」
身分差があるとはこういうことだと、カリバーン家での対応が異例だっただけだと王子の言葉に納得する私に対し、アンジェリカは悔しそうにその大きな目いっぱいに涙を溜めた。
「アンジェリカ、そこの下級貴族の娘は放っておいて遠駆けに出かけないか? 今日はよく晴れていて、気持ちいいだろう」
「……」
「おいアンジェリカ、聞いているのか!」
「…………帰ります」
幼く柔い肌に爪を食い込ませ、それ以外の言葉を我慢したアンジェリカは利き手とは逆の手で私の手を引いた。