愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「悪いのは私よ」
「いえ、私が」

 そうして数十分にも渡る馬車の旅は結論を出させることなく終わりを告げた。
 自ら責任を負おうとするアンジェリカに「この話題は終わり! ね?」と無理矢理納得をさせて、グスタフの待つ部屋へと戻る。そして私は一人、後回しにしていた考えを掘り起こした。

 アンジェリカが私を慕うのは義姉であり、兄であるラウス様が惚れた女性だからである。

 だが私はラウス様の惚れた女性でなければ、マクベス王子がおっしゃった通りの下級貴族の、男爵家の娘なのだ。


 愛よりお金をとった私と、地位の釣り合いよりも愛をとったラウス様。


 ラウス様を思うのならば私が選ぶべき道はやはり身を引き、彼の幸せを願うことだろう。

 そう自らの心に新たな結論を出した私ではあるが、どうやってラウス様を説得すればいいのだろうか? という新たな問題が立ちはだかった。



 今日はいよいよ王家主催の夜会が行われる。
 結局あれからお義父様とラウス様は一度も屋敷に帰って来ることはなく、今日も城で合流する予定らしい。

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