愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 おそらくは彼女がダイナス様の婚約者なのだろう。ミリアール様と言うらしい。
 そして彼女があの時と指すのはおそらく私のデビュタントの夜のこと。だが彼女が指す女性もおそらく、私ではないのだ。


「えっと……怒られたいんですか?」
「そ、そうじゃないけど。でも……その……」
「こいつこんなんだから怯えるやつはいても心の底から気にかけてくれる人なんていなかったからな。モリアちゃん、良かったらこいつと友達になってやってくれない?」
「はぁ? なんで私がこんな下級貴族上がりの娘なんかと友達にならなくちゃいけないんですの!?」
「ミリアール、お前な……。大体お前が話しかけたいっていうからわざわざ……」
「それは、あなたが謝れってうるさいからでしょう?」
「お前だってずっと気にしてただろう! あれからモリアちゃんが招待されたって噂があるところにはひたすら俺を引っ張っていったじゃないか」
「ラウスからも頼まれていたじゃない!」

 なぜか2人は私を挟んで口喧嘩を始めると、その熱は収まることを知らずに燃え上がる一方である。いつものことなのかラウス様も2人を止める様子はない。

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