愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ツカツカと帰りの道を歩み始めたミリアール様に続くようにしてダイナス様も「じゃあ、またね」と言い残し部屋を去った。

 それから行きと同じようにラウス様に連れられてお義母様のところへと帰ると、事情を知っていたらしい彼らはニコニコと笑っていた。

「ミリアールはうまく言えたのかしら?」
「ああ」
「それは良かったわねぇ」

 周りの招待客に聞こえないように小声で話し合ってから、これからも仕事があるのだというお義父様とラウス様に別れを告げた。

「明日、は難しいかもしれないが明後日には帰れると思うから」

 別れを惜しむ2人に見送られながら、サキヌとお義母様と共に私達は会場を後にした。

 ビシッと背筋を伸ばしながら2人に続いて歩く。顔には出すことはないが、私の心の中では罪悪感から鬱々とした気持ちが渦巻いていた。

 早く私が言い出さなければ、間違いを正さなければいけない。
 ラウス様がお帰りになるのは明後日、そこまでに何とか説得方法を見つけられないだろうか?

 するとその想いは神様にでも通じたのか、それとも私に罪を重ねろとの悪魔の誘惑か、私の視界の端を掠めたのは一人の少女だった。

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