愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「そうなの? でも糸で仮留めした跡があったわよ? モリアがしてないって言ってもあれは確かにモリアがデビュタントの夜に着たもので間違いないし……。もしかしてモリア、忘れてるんじゃない? なんなら今から確認して、好きな方を選びなさい」
「……はい!」

 そのドレスを作り直した記憶は私にはない。だがお姉様が嘘をついているようにも見えなかった。

 お姉様によって与えられた仄かな光を胸に私達はリビングへと向かった。

 中心にデンと位置するその机には見覚えのあるドレスが一着。
 私が帰省時に見たものと同じものだった。

「これが今の状態、そしてこれが…………デビュタントの時の状態よ。モリアはどっちがいい?」

 お姉様の手で外されたそのフリルの下にあったのは白い糸で刺繍されたバラだった。

「このドレスだ! あの夜、モリアが着ていたもので間違いない」

 声を荒らげるラウス様とは対照的に私は声を出すことすらできなかった。
 その花は私がこれからもラウス様の隣にいていいことの証明となる。

「当たり前でしょ? うちでこの型を着れるのはモリアしかいないわよ」

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