愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 呆れたようにそう告げるお姉様の言葉に涙が溢れ出した。

 このドレスは間違いなく私のものなのだから。


 それから結婚式には大きな会場を用意することと、そして嫁入り道具として刺繍の入った生地を贈ってもらうことに決めた私達は、式の日時が決まり次第また連絡しに来ると告げてサンドレア領を去った。

 思い出のたくさん詰まったそのドレスは「確認が取れたから持って行っていいわよ」とのお姉様の言葉で、カリバーン屋敷に身を移すことになった。

 もう何も恐れることのなくなった私には急に睡魔が襲いかかる。それは足の上でぬくぬくとした体温を与えながら寝ているグスタフから移ってきたに違いない。

「モリア、無理して起きていなくてもいい」

 ユラユラと船を漕ぎ始めた私はラウス様の肩に寄りかかるようにして馬車の中で眠りについた。

 夢で見るのはあの日の出来事――そして私はあの夜の全てを思い出した。

 壁の花を決め込んでいた私にミリアール様が手を滑らせてぶどうジュースをかけてしまったこと。

 慌てて婚約者のダイナス様を呼びに戻ったミリアール様。
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