愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「グスタフ、モリアを頼む」
「ぶにぁ」

 同伴として着いて行くからとお駄賃代わりの大きな魚をもらったグスタフは終始ご機嫌で、途中泊まった宿でいつものようにオヤツをねだることはなかった。

「モリア、それにグスタフも。ちょうどいい、今日は大漁だぞ!」

 …………その代わりにサンドレア家でお兄様の釣ってきた魚をたらふく食べたのだが。
 早速お魚パーティーとなったサンドレア家で忘れないうちにと招待状を取り出すとお父様とお母様は2人で顔を見合わせて抱き合った。

「いよいよモリアの家名も変わるのか……」

 そうボヤくお兄様は涙を浮かべながら奥さんの胸の中で涙を浮かべた。

 その日、私とお腹が張って動けなくなったグスタフは今日で最後となる自室に別れを告げるため、その場で眠ることに決めた。次に帰って来るときにはもう、この部屋は私の部屋ではなくなっていることだろう。

 数ヶ月後に産まれてくる甥か姪にその部屋を譲ることが今は何より誇らしかった。


 後日、サンドレア家から帰宅した私はカリバーン屋敷で私の帰りを待っていてくれたラウス様と共にミリアール様のお屋敷へと向かった。

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