愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ミリアール様には結婚式の招待状を渡す他に言い忘れたお礼も告げなければならないのだ。


 たどり着いたそこはミリアール様の、公爵家の風格に相応しく、手入れの行き届いた花々が門を通過した来客をお出迎えしてくれた。

「ラウス=カリバーン様でいらっしゃいますね。そしてあなた様は……!! お嬢様、お嬢様! モリア様が、お友達がいらっしゃいましたよ!!」

 ドアを背に迎えてくれたミリアール様の家の使用人はキッチリしっかりとした見た目と、初めの何かを値踏みするような態度こそ私の緊張を引き立てるものだったが、おそらくは私の家の使用人と似た、主人思いの性格なのだろう。

 一向に戻ってくることのない彼の代わりに現れた女性もまた、ハンカチで目元の涙を拭きながら応接間へと案内してくれた。

 そしてそれは初めの彼と、私達を案内する彼女だけではなく、通り過ぎる使用人全てがそうなのだ。ハンカチや指先で目尻を拭いては、私達が通り過ぎるやいなや他の使用人の元へと走り去った。

 その異様な光景を目にし続けた私は応接間へと辿り着き、やっとその理由を知ることとなる。

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