愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 どうにか服を手に入れなければならないと俯きながら考える。ウンウン唸る私の上では未だにラウス様が影を作っている。ドアも押さえられて、とおせんぼされている状態だ。

 服を手に入れれば、ラウス様も認めてくださるはず……と考えて、ハッと良案が頭を過った。

「あの、ラウス様……」
「なんだ?」
「制服を、頂けませんでしょうか?」
「は? 制服?」


 この状況――制服をいただく絶好のチャンスではないか!


 なにも服はドレスでなくともいいのだ。
 ただこの、人目にさらすのを憚られる服装でさえなければいい。昨日のドレスなら後で探せばいい。

 あれは一張羅で、何より動きづらい。
 これから仕事をする上で明らかに不便なのだからそう急いで探すこともない。

「はい、制服です!」

 身体を反転させて、狭い場所でラウス様を見つめて『制服』を強調するように繰り返す。

 私の勢いに押されるようにラウス様は手を離し、代わりに顎に手を伸ばす。

「制服、制服か……。使用人用のならあるが、モリアのは……」

 ここまで言ったら『ない』と言われたようなものだ。肩と同時に気分も頭も垂れ下がる。

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