愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 これで制服は手に入らずとも、家から新たな服が送られてくるまでの間、唯一所有している服で過ごし続けることは回避されたのだ。

 それにいざとなったらその用意された服の上からエプロンか何かを着ければ、多少見た目が悪くとも裏方なら何とかやり過ごせるかもしれない。

 暗くなりつつあったこれからの生活に一筋の光が差し込んできたようだ。

 それからすぐにラウス様は使用人を呼びつけて、部屋へとドレスを持ってくるように指示を出してくれた。

 あれ? なんで使用人の私が主人に気を使って貰っているんだろう?
 ただでさえラウス様は体調が悪いのに!

 やらかしに気づいた私がその場でパタパタと行ったり来たりと不審な行動をしていると、部屋へと戻ってきたラウス様は不思議そうに「モリア?」と首を傾げた。



 それからそう時間の経たないうちにやってきた使用人達の腕の中には、きらびやかなドレスばかりが並んでいた。


「どれになさいましょうか?」

 差し出されたドレスは正直いうとどれも着たくない。

 決して趣味が悪いわけじゃない。どれも素敵なドレスだ。
 けれど私には似合わない、それだけだ。

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