愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 謝るべきことはたった2日で溜まっていく一方。

 私は未だに『使用人』としての自覚が足りなさすぎる。深く頭を下げて反省する。

「昨日のことは謝ります。身をわきまえずに申し訳ありませんでした」
「……それはモリア。君がまだ私と結婚していないからか?」
「まだも何も私はラウス様の奥方にはなりませんよね?」

 何を言い出したのかと確認の意を込めて聞き返す。

「は?」

 するとラウス様の端正な顔が一気にゆがむ。

「ラウス様の周りにはいつも女性がたくさんいて、どんなご令嬢も選びたい放題なのに、わざわざ下級貴族の、それも何の特徴もない私なんかを嫁に迎える理由がありません」

 ラウス様と会ったのは一昨日が初めて。
 噂から得た印象とは違う一面もあったけれど、それでももう何度も耳にしている噂は間違っていないのだろう。

「……私の周りに女性が多くいるのは仕事柄だ。だから信じてくれ、私には他に女などいない」
「信じるも何も、私はただの借金持ちの使用人ですよ?」
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