愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 それは愛猫グスタフが寿命を全うしこの世を去った時のことだ。それを言い訳に夜会を欠席させてもらった、猫婦人と名高い公爵家のご婦人からわざわざお悔やみの花束が送られてきた。

 あまりにも大きな花束と、涙に濡れたお悔やみの手紙には家族一同ギョッとしたが、欠席したのが彼女主催の夜会でなければグスタフの死が家族以外に弔われることはなかっただろう。

 グスタフは私が生まれるよりもずっと前からサンドリア家におり、彼が突然屋敷にやってきてからゆうに25年以上の年月が経っているらしい。

 つまり最低でも25歳まで生きたご長寿な猫さんである。だから彼の死でサンドリア家の誰もが悲しみにくれるなんてことはなかった。

 そんなグスタフが死に場所に選んだのは住み慣れたサンドリア屋敷ではなく、彼の好きだった川魚の捕れる川の近くだった。

 グスタフは我が家に家族として仲間入りする前からそれはそれは丸々と肥えていたらしい。お祖父様なんて何度腰をやりそうになったことか。

 立派に育ったかぼちゃよりもどっしりとした重みのあるグスタフの最期は、彼にふさわしいほどにパンパンに膨れ上がっていた。

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