愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 冷たくなったグスタフの目の前には食べきれなかった魚がぐったりと横たわっていたが、彼の顔はとても満足そうだった。

 大方死を悟ったグスタフが死ぬならいっそ満腹になって死にたいと願い、実行に移した結果だろう。

 そんな一生をここぞとばかりに楽しんだグスタフに弔いなんて野暮なことはしない。むしろ家族総出で長寿の祝いをした。

 そして庭先に猫にしては立派にしたお墓を作って、グスタフの好きだった川魚をお供えしておいたくらい。

 どこか猫離れしていた猫だったから空の上で喜んでいるだろうな……と思いつつ、送られて来た弔いの花は魚と並べて供えておいた――とそんな一例はともかく、王都の近くに家を持つ貴族の地位は高く、そんな社交界に頻繁に呼ばれるわけでもない。

 一部例外があれどそのほとんどが嘘丸出しな理由でも断ることは出来た。

 仲のいい友人にはこんな嘘、バレていただろうけど、彼女たちは何も言わないでそっとしておいてくれた。

 これで他のお茶会や夜会にも断りを入れていれば怪しまれることはあるが、王都以外、下級貴族同士の社交界などは一度も欠席することはなかった。

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