愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 やっぱり朝食は別々だよね、と一人納得していると閉ざされた扉はすぐに開かれた。
 だがそこから出てきたのはラウス様ではなかった。

「なにぶん不器用な子ではあるが、これからも息子をよろしく頼む」
「兄さんは色々あれだけど、義姉さんのことを思っているのは本当だから!」
「勉強ばっかりしていたせいで多少頭が固い子に育ってしまったけれど、いい子は確かなの!」
「お兄様を頼めるのはお義姉様だけなのです!」

 ラウス様以外のカリバーン家の方々に詰め寄られ、頷く暇もなく捲し立てられる。

「は、はぁ……」
「何か不満があったら遠慮なくいうのよ? なくても言ってちょうだいね!」

 縋り付くような姿勢をとる女性は、ラウス様のお母様という認識で間違いはないのだろう。

 私もこの歳まで恋愛一つしてこなかったから人のこと言える立場ではないけれど、ご家族がこんなに必死になるなんて……。きっと色々とあるのだろう。

「至らないところも多くありますが、どうぞよろしくお願いいたします」

 ここまで必死に頼まれてはこちらも全力でサポートしなければならない。

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