愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「モリア様?」

 口ごもる私の顔を伺うようにハーヴェイさんは覗き込んでくる。これじゃあ疑ってくださいって言っているようなものだ。

「えっと……ダメですか? 作り終わったらちゃんと帰ってきますし、心配なら監視を付けてもらっても構いません!」

 これなら! と思ったが、返ってきた答えは喜べないものだった。

「申し訳ないのですが、私だけではその判断は下せません」
「そう、ですか……」

 まぁ、信用なんてないよね……。
 仕方のないことだが肩を落とさずにはいられなかった。

 材料を揃えるだけのお金もなければ、サンドリア家に花を摘みにも、薬品を取りにも行けないとなればブーケ作りは諦めるしかないのだろう。

 長く続いた習慣を私で途切れさせてしまうことは心苦しい。
 そして何より憧れのブーケを作れないのは悲しくて、そして悔しかった。けれど仕方のないことだと言い聞かせる。


 私は愛よりもお金を選んだ。
 幼い頃憧れたブーケもその代償の一つに過ぎないのだ。



「はぁ……」

 与えられた部屋まですごすごと戻ると深く椅子に腰かけた。

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