愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 話し合い? の結果、席の間を等間隔にすること。そして私が真ん中の席に座ることになったらしい。

 ポッカリと空いた真ん中の椅子に腰を下ろすと、目の前の取り皿には同時に違う種類の小さなケーキが乗せられる。

「モリアちゃん、これ美味しいから食べて?」
「義姉さん、これ俺のオススメなんだ」

 目の前にはケーキスタンドがあり、それは私からも取れる位置にある。だからわざわざ取ってもらう必要はない。

 ない……のだが、そう微笑まれ、期待の眼差しで見つめられてはそれらから食べる以外の選択肢はない。

「いただきますね」

 まずは利き手側にあるサキヌ様が乗せたケーキだ。一口大になった可愛らしいケーキは切ることなく私の口へと運んでいく。

「ん! ……美味しい、です」

 主張を抑えたスポンジに甘さ控えめの生クリーム、そして主役の砂糖漬けのフルーツは絶妙にその良さを引き立てあっている。お上品に小さく切ってしまってはこの良さを感じることはできないだろう。

 まさにこの大きさだからこそ、一口で食べ切るからこそ口の中に幸せを運び込むケーキとなるのだ。

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