愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 だが私にとってケーキといえば山で採れた木の実や果実を使って焼いたケーキか、結婚式などのお祝い事で出されるケーキかのおおよそ二択に分類される。

 お茶会に呼ばれた時にも出されるけど、あれは緊張していて味わえたことがないからケーキとしてはカウントしない。あれは小さな何かでしかないのだ。

 最後にクリームの乗ったケーキを食べたのは2年前のお姉様の結婚式。
 私にとってはそれ以来の、久しぶりのクリームのケーキなのだ。木の実や果実を使ったケーキも嫌いではないが、クリームがあった方が『特別』って感じがする。

「モリアちゃん、こっちも食べて」
「義姉さん、これも美味しいから」

 目を丸くしていた二人はケーキスタンドからいくつものケーキを自分のお皿に載せて私の前へと差し出した。これでは二人のお皿がなくなってしまう。

「お二人のお皿が……」
「気にしないで!」
「俺は義姉さんを見ているだけで充分だから」

 二人はお茶をすすりながら頑なにお皿とケーキの返却は受け入れようとはしない。

「え、えっとじゃあ……いただきます」
「ああ」
「好きなだけ食べて」

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