愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 二人の私に向ける目はまるで我が子を見つめる父と母のようで、そんな中一人だけ食べるというのはいささか居心地が悪い。

 けれどケーキを食べればそんなことは気にもならず、やはり幸せの前では色々と優先順位が狂うものだなと実感する。


 結局、私はお皿に載せて出された10ものケーキを全て完食し、お義母様とサキヌ様は最後まで一つもケーキを食べなかった。

 けれど二人ともケーキをお腹いっぱい食べた私と同じくらい満足そうな笑顔を浮かべていた。

「またお茶会しましょうね!」

 お義母様が三杯目となった、夕焼けと同じ色をした紅茶をすすりながら提案した時は一も二もなく「はい、是非!」と元気よく返事をしたのであった。



 お茶会もお開きとなり自室へ戻ろうとすると、玄関の方へと向かって歩き出す使用人が妙に多いことに気づいた。

「どうかしたのですか?」

 そのうちの一人に理由を尋ねると、お義父様とラウス様が帰宅するのでその出迎えに行くという。

 ラウス様が屋敷の中にいれば、私はラウス様の隣にいるという役目を果たさなければいけない。

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