愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
間違いなく人違いだ。
私とその相手を間違えるくらいだから、おそらくはその相手とも交流は盛んではないのだろうが一度や二度顔を合わせたことはあるのだろう。
こんな茶番が続くのはラウス様が飽きるか、間違いに気づくまで。
私から終わりは告げることはできない。それは分かっているのに、理解しているのに、冷静にならないと勘違いをしそうになる自分もいる。
歓迎されて、心配されて。
たった3日、されど3日。
熱くなった顔とは正反対に心は冷めていく。
甘えてはいけないのだと、本物が見つかるまでの役目なのだと心に刻みつける。
私の役目は隣にいること。
そして彼の男性としての欲を受け止めること。
決してラウス様を愛することでも、彼に愛されることでもないのだ。
揺られて辿り着いたのは昨日・一昨日と散々お世話になったばかりの大きなベッド。シミひとつない純白のシーツは、洗濯したものの技術の高さが容易にわかる。
それに今まであまり気にする暇もなかったが、サンドレア家のベッドとは格段に違う肌触り。ゆっくりと降ろされた時でさえマットレスが身体にフィットするように沈んでいく。