愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 身体を求めて欲しいなんて、私はいつの間にこんなにはしたない女になってしまったのだろう。

 恥ずかしくて、申し訳がなくて。
 ラウス様から目を背けるように視線を逸らす。彼は私の隣で寝転ぶことはなく、テーブルから椅子を引き抜いてベッドの横へと運び、そこに腰かけた。

「心配、なんだ……。さっきだってアンジェリカがワガママを言ったせいで、モリアは明日の約束まで取り付けられてしまっただろう? モリアが困っているのは分かっていても、年の離れた妹だからあまり強くは言えなくて……その、すまなかった」

 昔、不注意で花瓶を割ってしまった時、お兄様もこうやってお父様に一緒に頭を下げてくれたっけ。

 深々と身内の非礼を詫びるラウス様はあの頃の自分と兄の姿と重なって、今までで一番親しみやすいと感じてしまう。

「私も明日のアンジェリカ様とのお茶会は楽しみにしておりますので、ラウス様が気になさることはありません」

 だからなんてことないように笑って返した。

 私にはお兄様やお姉様はいても下に兄弟はいなかった。その代わり、近所の子どもたちは妹や弟のように可愛らしくてよく世話を焼いたものだ。

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