愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 だからこの慣れない場所でも彼らのように慕ってくれるアンジェリカ様が可愛くて仕方がない。

 そんな彼女とのお茶会はきっと今日のお茶会と同じくらい楽しい時間が過ごせることだろう。

「そうか、君は優しいんだな」

 髪を梳くようにして優しく頭を撫でられると、ゆっくりと睡魔が這い寄ってくる。
 ぬくもりに包まれながら、私の意識は身体とともに沈んでいった。




「はぁ……何やってんだろう?」

 朝目が覚めると、私の右手は椅子に座ったままのラウス様の手と繋がっていた。

 つい昨日、ラウス様のためにできることをしようと思ったばかりなのに逆に負担をかけてしまっているではないか。

 今からでもラウス様が起きるまでは少し時間がある。

 その間だけでも身体を休めてもらいたい。

 本来ならばベッドで寝てほしいが、生憎ラウス様の身体は私よりも頭一つ分ほど大きく、野菜をいっぱいに詰めた出荷カゴ二つ持つのが限界の私ではベッドに移せそうもない。

 万が一移せたとしても起こしてしまうことだろう。
 そんなことになれば本末転倒もいいところだ。

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