愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ふわぁとあくびを吐くと「それにしても朝からモリアの顔が見れるなんて幸せだなぁ」と気の抜けた表情でへにゃあっと笑った。

「今日は良い日になりそうだ」

 ラウス様は窓の外を眺めながら「今からでも今日の予定を変更して遠駆けにでも出かけたい」と呟いた。

 けれど王都の方角に薄暗くて厚い雲がかかっている。
 太陽を隠してしまうほど分厚ければ雨が降り出すのも時間の問題だろう。

 遠駆けに出かける前、早ければラウス様が屋敷を出発するよりも早く雨は地面を目指して落ちてくることだろう。

 だがラウス様のつぶやきは予定ではなく、気分の問題なのだろう。
 余計な水は差さず「馬に乗って走るのは気持ちがいいですよね」と当たり障りのない言葉を返しておく。

 それにしても、昨日、ラウス様は行きも帰りも馬車を利用したようだったが傘は使うのだろうか?

 だったら傘をしまう場所の確認もしておきたいものだ。
 ハーヴェイさんにその場所を教えてもらうことを朝食後の予定に加えておく。

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