乳吸鬼♀&未来偵察メイド(裏編):ヴァレリの前日譚
(2)
この地域の人間は労働力や「持続可能な家畜・隷属民」なだけでなく、毒物を分解したり生体濃縮で蓄積するゴミ袋なのだ。何もせずに放置したらずっと長い時間を汚染し続ける化学毒物や放射性物質を、農業・漁業や畜産や呼吸と飲料水を通じて収集し、その終着地は人間。人海戦術で何十世代も。
汚染を詰め込んだ遺体は特殊な高熱処置で燃やされたり、専用のガラスセメントの注入と封入でガチゴチに固めて埋めたてられ、大地の汚染を「相打ち」で取り除いていった。魔族は耐性があるとはいえ、人肉を食べ続けて高齢になれば体調が異常になり、血中の汚染物質の濃度上昇にガイガーカウンターが反応しだす。だから魔族の遺体も人間の一般死者と同様の扱いされていた。
一世代の平均寿命が三十年を切っていたり、死産率が五割で乳児死亡率も異様に高いような時期がずっと続いていたようだが、高齢者や老人が散見される昨今はずいぶんと改善や浄化された証左なのだろう。
(3)
「ギョッギョ! ギョッギョ!」
天秤棒を担いだ行商する鮮魚人が、街角ですぐ傍を通り過ぎていった。とっさに蹴ろうかと思ったがやめておく。こいつ個人が悪いのではないのだし、必ずしも極悪人とまでは限らないから。
奴らの起源は或る半島で(素行と民族性に難があったらしい)、元来には人工進化種族のエルフやドワーフ種族のはずなのだった。ただ、自前でやる魔術のノウハウがなかったため、ヤポニカから若干だけ提供されたり各方面(当時の先進国)からかき集めたエリキシル(錬金薬)を無理に水増しし(魔族の血液や体液まで使ったそうで)、さらには自分たちが保有していた「呪い」や「毒」の魔術スキルを付加した。しかもベースとなった遺伝子血統が半島人だからその結果、「魔族の一種」とも揶揄される鮮魚人が爆誕してしまった次第であった。
「ギョギョギョ~♪」
市場の固定スペースで屋台を展開し、独自のマンドラゴラ漬けと小麦粉でチヂミ焼きをやり始める。買い物客に売りつけるためであった。隣で特産品である呪術アイテムの白磁・青磁に、彫刻された金属細工の器物などの販売コーナー。仕上げがチョゴリドレスの鮮魚姫たちが歌い踊って見物人たちの投げ銭を稼ぎつつ、さりげない暗黙の売春や愛人稼業も応相談の宣伝アピール(少数民族の近親婚で遺伝パターンが煮詰まるのを防ぐための方途でもあるらしい)。すっかり古代の流浪の民ジプシーのごとき生活スタイルと社会的立ち位置を確立中のようだ。
下級魔族のチンピラが難癖つけてくると、両手を顎の下で交差させ、指を広げて指を広げて「エラ」に見立て、目を血走り飛び出させて「ギョ!」と鋭く威嚇する。「深淵の者ども」と呼ばれる鮮魚人も一応はエルフの一種であって、中下級の魔族くらいには対抗できるし、人肉をあまり食わないことや最低限でも話が通じることが多いために「魔族よりマシかもしれない」とされる(ただし魔族とも混血率が高いために、中には本当に凶悪でどうしようもない奴らもおり、グループそのものに不穏さがつきまとっている)。
その近場で、ドワーフの炒飯・ピラフや点心のカフェが営業しており、ブラウンエルフのビーフン売りが「バァーカ」と挨拶して、鮮魚人が笑顔で中指を立てて挨拶を返している。いつものよくある風景のようだった。
この地域の人間は労働力や「持続可能な家畜・隷属民」なだけでなく、毒物を分解したり生体濃縮で蓄積するゴミ袋なのだ。何もせずに放置したらずっと長い時間を汚染し続ける化学毒物や放射性物質を、農業・漁業や畜産や呼吸と飲料水を通じて収集し、その終着地は人間。人海戦術で何十世代も。
汚染を詰め込んだ遺体は特殊な高熱処置で燃やされたり、専用のガラスセメントの注入と封入でガチゴチに固めて埋めたてられ、大地の汚染を「相打ち」で取り除いていった。魔族は耐性があるとはいえ、人肉を食べ続けて高齢になれば体調が異常になり、血中の汚染物質の濃度上昇にガイガーカウンターが反応しだす。だから魔族の遺体も人間の一般死者と同様の扱いされていた。
一世代の平均寿命が三十年を切っていたり、死産率が五割で乳児死亡率も異様に高いような時期がずっと続いていたようだが、高齢者や老人が散見される昨今はずいぶんと改善や浄化された証左なのだろう。
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「ギョッギョ! ギョッギョ!」
天秤棒を担いだ行商する鮮魚人が、街角ですぐ傍を通り過ぎていった。とっさに蹴ろうかと思ったがやめておく。こいつ個人が悪いのではないのだし、必ずしも極悪人とまでは限らないから。
奴らの起源は或る半島で(素行と民族性に難があったらしい)、元来には人工進化種族のエルフやドワーフ種族のはずなのだった。ただ、自前でやる魔術のノウハウがなかったため、ヤポニカから若干だけ提供されたり各方面(当時の先進国)からかき集めたエリキシル(錬金薬)を無理に水増しし(魔族の血液や体液まで使ったそうで)、さらには自分たちが保有していた「呪い」や「毒」の魔術スキルを付加した。しかもベースとなった遺伝子血統が半島人だからその結果、「魔族の一種」とも揶揄される鮮魚人が爆誕してしまった次第であった。
「ギョギョギョ~♪」
市場の固定スペースで屋台を展開し、独自のマンドラゴラ漬けと小麦粉でチヂミ焼きをやり始める。買い物客に売りつけるためであった。隣で特産品である呪術アイテムの白磁・青磁に、彫刻された金属細工の器物などの販売コーナー。仕上げがチョゴリドレスの鮮魚姫たちが歌い踊って見物人たちの投げ銭を稼ぎつつ、さりげない暗黙の売春や愛人稼業も応相談の宣伝アピール(少数民族の近親婚で遺伝パターンが煮詰まるのを防ぐための方途でもあるらしい)。すっかり古代の流浪の民ジプシーのごとき生活スタイルと社会的立ち位置を確立中のようだ。
下級魔族のチンピラが難癖つけてくると、両手を顎の下で交差させ、指を広げて指を広げて「エラ」に見立て、目を血走り飛び出させて「ギョ!」と鋭く威嚇する。「深淵の者ども」と呼ばれる鮮魚人も一応はエルフの一種であって、中下級の魔族くらいには対抗できるし、人肉をあまり食わないことや最低限でも話が通じることが多いために「魔族よりマシかもしれない」とされる(ただし魔族とも混血率が高いために、中には本当に凶悪でどうしようもない奴らもおり、グループそのものに不穏さがつきまとっている)。
その近場で、ドワーフの炒飯・ピラフや点心のカフェが営業しており、ブラウンエルフのビーフン売りが「バァーカ」と挨拶して、鮮魚人が笑顔で中指を立てて挨拶を返している。いつものよくある風景のようだった。