乳吸鬼♀&未来偵察メイド(裏編):ヴァレリの前日譚
(8)
(絶対に、目を合わせちゃダメだ……)
街角で晒し者にされ、いくつも並んだ檻の中。
レトラは膝を抱えて顔を伏せた。
(あいつは魔族混血の変質者だ。拘わったらダメ)
なぜだかわからないが、奇妙な確信があった。
ちょうど檻の前の往来を通り過ぎるエルフらしき男は、目をつけられたら最悪の死に方をすることだろう。狂ったサディストなのだ(暴行しながらなぶり殺しにされて、生きたまま生のままで刻み食われて、自分の内臓を口に突っ込まれる)、助けを求めるなんて論外だった。理由はわからないけれども、レトラはそう思う。
(9)
ようやく時間ループから解放されたヴァレリアンは、付近を探索しはじめる。心当たりがあった。
(これは、魔族の仕掛けた罠などではない。おそらく「未来偵察者」の異能に巻き込まれたのだ!)
ヴァレリアンの企んでいる隠密作戦を阻止しようとしたり、彼を警戒して仕掛けてきているにしては、あまりにもタイミングが非合理的だ。
こんな時間ループのトラブルは滅多にないことだったが(ヴァレリアンは特異個体であるために自覚や察知できるのだが)、ありうるのは近隣に「未来偵察者」の異能者がいて、どうした理由だかで特殊魔法の発動に巻き込まれたのだろう。彼らは「死に戻り」ループするわけだが、何かしら危機に陥って、生き残れるまで時間ループを繰り返す。ゆえに(本人や巻き込まれた者には)短時間や短期間で集中的にループが頻発することが多い。そのパターンにそっくり当てはまるのだった。
だとすれば、逆に原因の人物の所在も絞り込みができなくもない。この短期間で、さっきは二回目の時間ループ頻発だった。つまり、その未来偵察者は今まさに「死んだり殺されやすい」ような状況におかれているということだ。
ヴァレリアンがこのあたりの近郊にきて、実は一週間近くが経っている。その間には時間回帰ループは発生していない。単純にヴァレリアンがまだ巻き込まれていなかっただけなのかもしれないが、その時点ではまだ「縁と影響」がなかったのだろうか(いや、距離的にはさして離れていないのだから、共鳴するならその近郊にぶらつきだした時点で巻き込まれたはずでないか?)。それとも、当該する未来偵察者(どこの誰かは知らないが)がまだ死にまくる(そして時間が回帰するループで生き返る)状況になっていなかったということなのか?
後者の可能性の方が高いように思えた。
(絶対に、目を合わせちゃダメだ……)
街角で晒し者にされ、いくつも並んだ檻の中。
レトラは膝を抱えて顔を伏せた。
(あいつは魔族混血の変質者だ。拘わったらダメ)
なぜだかわからないが、奇妙な確信があった。
ちょうど檻の前の往来を通り過ぎるエルフらしき男は、目をつけられたら最悪の死に方をすることだろう。狂ったサディストなのだ(暴行しながらなぶり殺しにされて、生きたまま生のままで刻み食われて、自分の内臓を口に突っ込まれる)、助けを求めるなんて論外だった。理由はわからないけれども、レトラはそう思う。
(9)
ようやく時間ループから解放されたヴァレリアンは、付近を探索しはじめる。心当たりがあった。
(これは、魔族の仕掛けた罠などではない。おそらく「未来偵察者」の異能に巻き込まれたのだ!)
ヴァレリアンの企んでいる隠密作戦を阻止しようとしたり、彼を警戒して仕掛けてきているにしては、あまりにもタイミングが非合理的だ。
こんな時間ループのトラブルは滅多にないことだったが(ヴァレリアンは特異個体であるために自覚や察知できるのだが)、ありうるのは近隣に「未来偵察者」の異能者がいて、どうした理由だかで特殊魔法の発動に巻き込まれたのだろう。彼らは「死に戻り」ループするわけだが、何かしら危機に陥って、生き残れるまで時間ループを繰り返す。ゆえに(本人や巻き込まれた者には)短時間や短期間で集中的にループが頻発することが多い。そのパターンにそっくり当てはまるのだった。
だとすれば、逆に原因の人物の所在も絞り込みができなくもない。この短期間で、さっきは二回目の時間ループ頻発だった。つまり、その未来偵察者は今まさに「死んだり殺されやすい」ような状況におかれているということだ。
ヴァレリアンがこのあたりの近郊にきて、実は一週間近くが経っている。その間には時間回帰ループは発生していない。単純にヴァレリアンがまだ巻き込まれていなかっただけなのかもしれないが、その時点ではまだ「縁と影響」がなかったのだろうか(いや、距離的にはさして離れていないのだから、共鳴するならその近郊にぶらつきだした時点で巻き込まれたはずでないか?)。それとも、当該する未来偵察者(どこの誰かは知らないが)がまだ死にまくる(そして時間が回帰するループで生き返る)状況になっていなかったということなのか?
後者の可能性の方が高いように思えた。