おにぎり☆プリンセス

ファーストキッス!?

「ねえねえりゅう、宿題終わった?」

 悪口だらけの机に突っ伏しているりゅうを何度も揺さぶって起こそうとした。
 ねー起きてよ!!眠り姫はお前じゃないんだからさ!その座は私のものよ!

「……お、俺起きてるよ」

 おにぎりにぎにぎは顔をあげて目を擦った、よく見ると机には悪口を書いてあるだけじゃなくて彫ってある、なんかみんな相当コイツのこと気に入ってるんだろうなあ。

「どうしたの?姫ちゃん、終わってないの?」

「……うん、次国語の授業じゃん、今の休み時間に終わらせないとやばいんだよね」

「そ、そっか……じゃあ、俺の写す?」

「丸パクリするわ」

 絶対怒られるけど、私はりゅうの感想文を全文字丸パクリした、もしも指摘されたら……
 うちらニコイチ☆で運命共同体♡♡♡なので文章がたまたま被りました、なんて言えばいいでしょ。

「サンキュー☆助かったわ」

 ドキドキの国語の授業、先生は私とりゅうの宿題を三度見したが、特に指摘はされなかった。よかった、多分バレてない。

 はあ、国語ってなんでする必要があるのかわからない、漢字はまだしも文法とか倒置法とか、人と喋ってれば自然に覚えておくものでしょ?
 なんでいちいち何語とか何文とか、あーめんどくさい!
 日常生活で「あ、いま倒置法使ったな。」なんて思わないってば!
 ていうか次体育じゃん、サイアクなんだけど。
 何も考えないまま国語の授業が終わった、何にも覚えてない、まあいいや。

 適当に着替えた後、体育の授業中私は見学でおにぎりを眺めてた。
 おにぎりのくせになーんでこんな走るのが早いんだろう、へんなの。

 私は運動なんて絶対したくない、もちろんダイエットで運動するのも嫌。
 もちろんご飯を食べないだけで普通に痩せるじゃん。おかげで私は超スリム、かわいいツインテールのぱっつん女の子♡
 プリンセスが汗かいてるところなんて見られたら絶対恥ずかしいから。
 ありえないわ、走るのもキモい、はぁはぁ言ってて汗が滲んでて。
 あー嫌!

 放課後、みんなはビッタビタに汗かいたままお家帰るけど私は綺麗さっぱり、みんな私が羨ましいでしょ♡♡
 ……でも歩いてたらどんどん汗かいてきた、しょうがないじゃん。
 だって今は7月なんだもん、もうすぐ夏休みだなあ。
 りゅうと夏休みどこか行こうかな……だって私アイツしか友達いないし
 ……楽しみだな。
 夏休みもあとちょっと、空は晴天で光はキラキラ、セミはミーンミーンと五月蝿く鳴いていた。
 大掃除の時間中、学校のゴミ捨て場に向かうと

「……おにぎりまたいるじゃん」

 またおにぎりだ、またゴミ捨て場に突き落とされたの?

「ギャ、ギャハハ……また殴られちゃったよ」

 なんだコイツ、ここに住んでるの?
 抵抗しない方が悪いでしょ!
 売られたケンカは絶対買わなきゃダメなの☆
 やり返さないと、あとで自分が全部イライラするから。
 おにぎりはもぞもぞと起き上がって、私の隣に歩いてきた。

「うーん……なんで俺嫌われてるんだろ」

 それって…
 どっからどう見たって見た目おかしいじゃん!!!

「だってりゅうそんな変な見た目してるからだよ、髪の毛ボサボサでメガネでデブで、変な笑い方」

「そっかぁ…俺やっぱり不細工なのかなあ」

「……うん」 

「そっかぁ…………」

 ゴミ捨て場BOYはマジ超ショックを受けてた、もう自分の顔面を心の底から消そうとしてる勢いだった。
 はあ、そんなとこでショック受けてないでどいてよ、ゴミが捨てられない。

「……ほら、どいて、ゴミ捨てるから」

「あ、ごめんなさい……」

 ゴミ捨て場にポイと袋を捨てて、BOYと一緒に階段を上がる。
 なんだかヒソヒソ変な声が聞こえるけど、そんなのキニシナイ☆
 ……なんで私こいつしか友達がいないんだろう。

 放課後、てくてくいつもの道を歩く。
 なんでこんなに夏は疲れるんだろう?日焼けするし、ピンクのフリフリのドレスは暑くて着られないし。

 あー夏はサイアク!また歩くのが疲れたから道のベンチに座ろ。
 夏だから全然空が暗くならない、私は眩しいの嫌いなの!

「ん……?」
 例のおにぎりが急に私の隣にやってきた。
 って……え?!何持ってんの!?

「……あれ、それさぁ……」

「うん!姫ちゃん!気持ちいいよ!ママから貰ったんだ!」
 タバコじゃん!!やば。なんでコイツ捕まってないのー!?
 普通に堂々と公共の場で中学生がタバコ吸ってるじゃん!!警察は!?
 ……でも顔大人っぽいから、頑張れば子供っぽいサラリーマンに見えるんだよね。
 ……チョーウケる!!
 で、でもタバコすってるプリンセスはお下品なので今回はNOです!
「いやだ、プリンセスはそんな男臭いのやらないから」

「ええ、でも楽しいよ!姫ちゃんに一本あげる!」

 なんだコイツ、しつこいな。
 てゆーか犯罪でしょ、まあ私にとっては無罪だけど♪

「いらないってば!」

「そっかぁ……で、でも」

 あーうざい、帰ろ。

「はいはい!じゃあね!」

 私がじゃあねと言いかけた口が急に塞がれた、口の中が煙だけになる。
 んぐっ!?
 苦しい、臭い、りゅうの長い舌が口の中に入った。
 ベタベタ気持ち悪いー!なにこいつ!私の口の中をベタベタに舌がはいってくるんだけど!

「ゲホッ!!!ケホッ……ケッ……」

「……何してんの!?」

 今度こそはちょっと嫌だった
 だって、だって……
 タバコとかよりも、私今ファーストキスだったんだもん!!

「姫ちゃん、タバコおいしい?」
 ……うーわ、なんだコイツー!
 今すぐにでも逃げたかった、いや、逃げちゃった!
 アイツは多分犯罪で捕まるだろう、私というプリンセスに許可なくキッスしたから。
 無許可キッス罪は死刑でーす!

 絶対走りたくなかったけど……あーあ、走るしかなかった。
 プリンセスが走ってたら、ガラスの靴が脱げちゃう!
 でも、それで王子様が見つけてくれるんだったらいいかも。
 ……まあいっか、別に私は王子様のキス以外ノーカンだし☆

 明日無許可キッス罪について謝ってもらおう、それでいいや。
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