おくれなば
「桜さん」
ケガはないですか、と横から梅ちゃんの声が聞こえた。
はっとして手を離す。
「だ、大丈夫!ありがと!」
そう言いながらパッパッとスカートについた土を払う。
「よかったです。……園芸部に何か用ですか?」
どうしてここに、という顔で私を見つめる二人。
昨日のことがあってか、気まずい空気になる。
「あ、いや、道に迷っちゃって、たまたま人の声が聞こえたから教えてもらおうと思って……」
半分ホントで半分ウソになっちゃった。
扉を開けたのはただの好奇心なのに。
「……そうですよね」
梅ちゃんのそのセリフはまるで、昨日の昼休みの発言を責めているみたいなトゲを感じた。
「っあ、あのさ……!私、地味とか暇そうとか思ってないからっ」
感情のままに言葉が飛び出す。
「園芸部って、毎朝早く来て植物のためにお世話とかしてるんだよね、放課後も、体育館からここまで水運んでたし、とっても大変だけど立派だと思う!」