おくれなば
「それ俺がやりたい、べにちゃんこっちお願い」
はい、とスコップふたつを手渡し、片付けるよう促してくれます。
「でもそちらは重たいので、私も……」
「力仕事は俺の役目だから」
「……ありがとうございます」
嗚呼もう、あなたは本当にずるいです。
どこまで私の心を虜にしてしまうのでしょうか。
よろしく、と言ってプランターを抱えビニールハウスから出ていく橘くん。
感情の赴くままに頬がみるみる緩んでしまうけれど、今は誰に見られるまでもないのでそのままに。
よいしょ、と重ねた空っぽのプランターにスコップを入れて、奥の収納場所へ向かいました。
戻ってくると、橘くんがちょうど最後のプランターを運ぶところでした。
「今日は水をやったら終わりにしましょう」
「そうだね」
一緒にビニールハウスを出て、私は扉のカンヌキを閉じました。
じょうろをもって体育館裏の手洗い場から水を汲み、庭まで往復し、お互い両端から水やりしていきます。