おくれなば


5月に突入したので、放課後はすぐ庭へ行かず、教室で園芸部の掲示板を更新するための作業をしているところでした。

もちろん橘くんと一緒に。



「5月は母の日があるので、今月の代表花はカーネーションにしましょう」

「いいね。え、すごい。べにちゃんって絵描くの上手いんだ」


私の机上を覗き込む橘くん。

ふわ、と微かにフローラルな香りが鼻を通りました。


「っ、そ、そんなこと、ないです……」

「いや俺の見てよ、雲泥の差」


そう言って先程まで筆を揮わせていた作品を手に取り、私の前にじゃん、と効果音を付けて掲げました。


私にとっては、あなたの描いた絵はどんな完成度だって宝物のようにキラキラ輝いて見えるけれど。

この作品の世間一般的な評価はきっと……。


「30点……でしょうか」

「ぐっ……辛辣っすね、べに先輩」


ガクッと大袈裟にうなだれる橘くんが可笑しくて、声をあげて笑ってしまいます。

橘くんも、いたずらに目を細めて口元が緩んでいます。


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