おくれなば


そんなかけがえの無い放課後のひとときも寸秒で過ぎ去って。

校内の園芸部の掲示物を各階で貼り替えて、終わったら庭へ行って水やりすると、あっという間にお別れの時間が来ました。


いつも通り名残惜しい気持ちには蓋をして、校門の下、タンポポの側でまた明日ねと互いに手を振ります。


いつもと違ったのは、帰宅路についてしばらくすると、スマホの通知音が鳴ったことです。


『今日はありがとう。励ましてくれて嬉しかった。
 べにちゃんの言葉、ずっと心に残ってる。
 俺もべにちゃんのこと、友達としてもっと知りたい。
 また明日も沢山話せたら嬉しい』


その文字を眺めて、息が、止まりそうなほど、詰まってしまいます。

切ないような、愛おしいような、何とも言えない感情がぐちゃぐちゃに混じり合います。


私が近づきたいあなたは、

“友達として”

私を知りたがっているのですね。


恋人の有無も、

“友達として”

気になっただけなのですね。



天を仰ぐと、青い空を遮る、桜色。



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