おくれなば
もっと上手いこと言えたらいいのだが、俺は本音しか言えない体質で生まれてしまったんだ、仕方ない。
「……お世辞でも、嬉しいです」
ほらやっぱり。
でもここで否定するのも余計に建て前感を醸してしまう気がして、もう何も言えなかった。
教室へ行くと、他の部もテスト期間休みに入っているのだろう、いつもより人がいた。
そういえば運動部の朝練の音が無かったから、外はあんなに静かだったのか。
その中央へ、いつものように席につく。
「おはよっ」
弾む語尾と同時にとんっと肩を軽く叩かれる。
親しみの意図があるんだろうけど、どうも慣れなくて照れくさい。
「おはよう」
何気ない挨拶。
何気ない挨拶でも、桜はくしゃっと満足げに笑う。
「おはようございます」
いつの間にべにちゃんもやって来た。
「あれっ、梅ちゃん三つ編み辞めたの?」
さすが女子だ。
見るや否や真っ先に気づく。
「はい、ちょっとでも……変わりたくて」
「いいじゃん、ストレートもめっちゃ似合うね!うわ〜、さらさら〜」