おくれなば
翌朝、学校についた私は下駄箱で立ちすくむ。
偶然なのか奇跡なのかそれとも幻か。
ばったり彼と出くわした。
「……おはよ」
「ぅお、おはよ!」
目が合うや否やギロリと睨まれながら挨拶を投げる彼に、びくりと肩が震えながらも挨拶を返す私。
いやあ、ほんと、やめてくんないかなその目つき。
わざとやってるのかな……。
なんて思いが顔に出ていたのか、気まずそうに目をそらす彼。
「……ごめん、やっぱ怖がらせちゃうよね」
「え?」
「その、わざとじゃないんだ……ただ見てるだけなんだけど、俺生まれつき目つき悪くて」
「う、生まれつき……?」
別に睨んでるつもりないよ、と目を合わせずに言って、上履きに履き替えて、すたすたと立ち去っていく。
その大きな背中は少し寂しそうな、悲しそうな、ほんのり哀愁を漂わせる。
昨日の出来事を思い出す。
目つきの悪い君は、本当は優しいのかもしれない。