おくれなば
そんな会話をしていると、あのー、と横から声がして。
「橘くん、ちょっといいですか」
振り向くと、そこには左右に三つ編みをぶら下げた、ぱっつん前髪の女の子が立っていた。
「べにちゃん、どうしたの?」
……べに、ちゃん?
まだクラスの半分程度しか顔と名前を覚えていないから、この子は誰なのかさっぱりわからず。
少なくとも真面目な子だということはわかる。
シャツの一番上のボタンまできっちり閉じていて、スカートは校則厳守の膝丈ちょうど。
化粧っ気のない顔面だけど、清潔感はきちんとあって上品な雰囲気。
いかにもこれぞ清楚系女子代表って感じ。
何もかも私と対照的で、心の奥でちょっと苦笑いしちゃう。
「……あ、白木さん、お話中ごめんなさい」
「えっ、あ、いいよいいよ、……えーっと、べにちゃん?」
どうやら彼女は私の名前を知っているようで、申し訳ない口調になっちゃう。