恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
二人の距離
麗美が『TOKITOグループ』を去ったという事実は、社内に広まるにつれて、思わぬ波紋を生んでいる。
それは——「副社長を怒らせると危険だ」という噂だった。
自主退職という扱いではあるものの、実際には副社長を怒らせた結果だと、どこからともなく尾ひれがついて伝わっているらしい。
そのせいか、社内を歩いていると以前のように刺さってきていた女性たちの視線も、いくらか和らいでいる。敵意が消えたわけではないが、明らかに“警戒”へと質が変わっていた。
それは秘書課内でも同様で——草薙も妙に大人しい。
ある意味では不気味ですらあるが、あからさまに敵意を向けられていた頃よりは、はるかに気が楽だった。
「みのり——っと、橋爪さん」
「……んんっ、副社長? いかがなさいましたか?」
そんな社内の空気とは対照的に、要さんの距離感だけが、少しずつ近くなっている気がする。
油断していると、仕事中であっても今のように、さらりと名前で呼ばれることが増えたのだ。
それは——「副社長を怒らせると危険だ」という噂だった。
自主退職という扱いではあるものの、実際には副社長を怒らせた結果だと、どこからともなく尾ひれがついて伝わっているらしい。
そのせいか、社内を歩いていると以前のように刺さってきていた女性たちの視線も、いくらか和らいでいる。敵意が消えたわけではないが、明らかに“警戒”へと質が変わっていた。
それは秘書課内でも同様で——草薙も妙に大人しい。
ある意味では不気味ですらあるが、あからさまに敵意を向けられていた頃よりは、はるかに気が楽だった。
「みのり——っと、橋爪さん」
「……んんっ、副社長? いかがなさいましたか?」
そんな社内の空気とは対照的に、要さんの距離感だけが、少しずつ近くなっている気がする。
油断していると、仕事中であっても今のように、さらりと名前で呼ばれることが増えたのだ。