恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 入社してから初めての宿泊を伴う出張。それがまさか要さんの同行で、しかも海外だなんて驚きだった。

「パスポートは持ってるな?」

「はい……それは」

 秘書課に配属された際、海外出張の可能性があるから準備しておくように言われている。そのためパスポートは取得済みだ。

「明日のロス直行便でファーストクラスな。ホテルは俺が手配する」

「ええっ? 畏まりました」

 デスクに戻ると、すぐに航空会社のホームページで空席状況を確認する。明日の午後便に空きがあり、要さんはファーストクラス、私はエコノミークラスで無事にチケットを確保した。ホテルは現地に詳しい要さんに、素直に任せるしかない。

 明日の朝はスーツケースを持参して出社し、そのまま要さんと空港へ向かう予定になっている。

 翌日——

 要さんと二人きりでの海外出張。そのことを考えるだけで緊張してしまい、昨夜はあまり眠れなかった。

 そんな私の緊張など意にも介さないように、隣にいる要さんはどこか楽しそうな表情を浮かべている。

 トラブル対応のための出張だというのに、あまり深刻な状況ではないのだろうか。

 それとも、私の知らない何か別の理由でもあるのだろうか。

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