恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
『それは助かるな。ふっ……本当に、みのりには驚かされてばかりだ』

 要さんは感心したように頷き、それから肩の力を抜くように小さく笑った。

『えっ?』

 思いがけない言葉に、私は思わず目を瞬かせる。

『おいおい、俺の存在を忘れてないか? ミノリ、初めまして。よろしくな』

 そう言いながら、彼は私の両手を包み込むように握り、屈託のない笑顔で挨拶をしてくれた。

『おい! 気安く触るな』

『おーっと、カナメが嫉妬とは珍しい』

『うるさい!』

『ふふっ』

 要さんが嫉妬するなんてあり得ないと思うけれど、二人のやり取りは本当に仲が良くて見ていて微笑ましい。

 日本ではなかなか見られないような気さくな光景に、私は思わず笑みをこぼしてしまった。

『みのり、笑ってるなよ! スティーブン、車は? とりあえずホテルにチェックインしたい』

『はいはい』

 日本では副社長として常に完璧で、一切の隙を見せない要さん。だからこそ、こうして年相応の表情を見せる姿に、私はなぜだかほっとしていた。

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