恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 ホテルに到着すると、これまた出張とは思えないほどの豪華さに思わず目を見張った。

 ファーストクラスに高級ホテル——ここまでくると、何かとんでもないことが起こる前触れなのではないかと不安になってくる。

『じゃあ、俺は一度会社に戻るから』

『ああ、時間が決まったら連絡をくれ』

 ホテルの前で私たちを降ろしてくれたスティーブンは、そのまま会社へ戻るらしい。

 ゆっくりと発進していく車を見送り、私は要さんと一緒にホテルへ足を踏み入れた。

「あのっ、本当にここに泊まるんですか?」

「ああ、不満か?」

「そ、そ、そんな。不満じゃありません。ただ、今回は出張なのに豪華すぎて……」

「ふっ。俺にリーズナブルなビジネスホテルへ行けと?」

 腰の引けている私とは対照的に、要さんは余裕たっぷりに笑う。その言葉に反論しようとしても、うまく言葉が出てこなかった。

「……」

「行くぞ」

 黙り込んでしまった私の背中にそっと手を添えると、要さんは当然のように私をエスコートする。

 そのまま私は逆らうこともできず、豪華なホテルの中へと足を進めた。

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